前書き
1年近く前の話になりますが、短編をまとめた個人誌『Ducks sing, Sharks sings too.』を作成し、令和5年度の東北大学祭にて文芸サークルプラネッツのブースで頒布させてもらいました。
その際にどのような作業や手続きをして個人誌の完成にこぎつけたのかの記録を、備忘録としてここに残していこうと思います。
取り急ぎ「製本編」と銘打ったこのページでは、個人誌製作のうち誌面データを本の形にするための作業について載せました。
もちろん個人誌製作は製本作業だけではなく、デザインなどの作業も必要になります。この個人誌製作記はシリーズとして、『Ducks sing, Sharks sings too.』を作った時の記録を中心に、製本以外も以下のような作業についても紹介するページを作ったていきたいと思います。
- 誌面作成編(営為製作中)
- 表紙作成編(営為製作中)
- おまけ:レポートでは使わないけど誌面作成では使うWordの便利機能備忘録(営為製作中)
あくまで私が『Ducks sing, Sharks sings too.』を製作したときの作業記録なので、これだけが唯一の手法というわけではありません。また、作品の原稿は完成している前提で、原稿を本の形にするにはどういった作業が必要なのかを書いていくつもりです。創作論や執筆時のマネージメントなどについてはカバーしていないので期待していた方はすみません。
そのあたりをご留意いただき、製本作業を忘れた未来の私と、物語を書いてはいるが製本作業は未経験で雰囲気を知りたいという方の助けになれば幸いです。
また、ここで製作過程を記録した『Ducks sing, Sharks sings too.』は文芸サークルプラネッツの部室(新サークル棟I 421号室)にも1部あるので所属している方はそれを参考にしてみるといいかもしれません。それから、同じく製本作業をした『氷礫 vol.02』を仕上がりなどの比較に使うかもしれません。これも部室にあると思うので可能であれば手に取って比べてみてください。
製本してできたもの
『Ducks sing, Sharks sings too.』は画像のようなA6サイズの縦書きの本になっています。表紙を除いて120ページ、20部作成しました。
製本依頼
『Ducks sing ~』の製本はちょ古っ都製本工房に依頼しました。注文の際には会員登録(無料)が必要です。会員登録や注文は以下のホームページからすることができます。またホームページから見積もりをすることもできます。
製本会社選びに関する所感
私の周辺では、小説系の同人誌や部誌はちょ古っ都製本工房に依頼して製作している方が多い気がします。令和5年度の大学祭でプラネッツのブースに並べたものだと、ほとんどちょ古っ都製本工房に依頼していました。『ともにこふ』(And O)は別の製本会社に注文して製本していたような気がします。注文
注文は納品日の2ヵ月前からすることができます。また原稿データの入稿は、コースにもよりますが納品日の2~10営業日前が締め切りになっています。つまり原稿データが完成していなくても2ヵ月前から注文自体はすることが可能です。
また、大規模な同人誌即売会と重なっていると注文がしめきられる場合もあります。なので本を作ると決意している場合は早めに注文してみるのもいいかもしれません。
ここからは注文内容について項目ごとに述べていきたいと思います。
納品日:2023年10月27日(金)
納品日は大学祭の前日を指定しました。
ほかの機会にも何度かちょ古っ都製本工房に依頼しましたが、今のところ商品の到着が遅れたという事はありません。しかし自分の作品を本の形にしてたくさんの方々の手に取っていただく機会はめったにないので、可能であれば余裕をもって到着日を指定した方が安全かもしれません。
コース:10営業日コース / 本文[モノクロ]・[カラーモノクロ混在]
10営業日コースを選んだので、納品日の10営業日前2023年10月13日(金)が納期になりました。この納期の15時が原稿データの入稿と代金の振り込みの締切でした。
コースは納品日の何日前を納期にするかによって2~10営業日まで2日ずつ用意されています。営業日が長くなるほど代金が安くなります。
また本文には文字しか載せていなかったのでモノクロにしました。イラストが中心で全ページカラー印刷をする場合でなければこれでいいと思います。
冊子のサイズ:A6
本の大きさはA6にしました。文庫本と同じサイズです。
サイズに関する所感
段組みをしない場合はA6くらいがバランスがいいような気がします。逆に二、三段に段組みする場合はA5にした方がいいかもしれません。
冊子のタイトル:Ducks sing, Sharks sings too.
この項目は注文時に未定を選択して後から入力することもできるようです。
冊子の用途:同人誌(小説)
注文フォームで同人誌を選択すると「イベント会場への配送云々」の確認が求められますが、私は自宅に配送したので特に気にせず「OK」を押しました。
本文の印刷方法:モノクロ印刷
本文の種類:上質55kg
本文部分の紙をここで選んでいます。一般的に表記の重量が軽くなるほど紙が薄くなります。ここでは一番薄い紙を注文しました。上質55kgは一般的な文庫本よりも若干厚いかなという感じでしたが文字中心であれば裏からの透過は気にならず読むことができると思います。
『氷礫 vol.02』は上質70kgで注文しました。紙の厚さを比べたい場合はそちらを参考にしてください。
紙の薄さに関する所感
私が調べた限りでは、ほかの製本会社はここまで薄い紙を選べないような気がします。絵が中心の冊子の場合は、裏が透けないようにもう少し厚い方がいいのかもしれませんがよくわかりません.
本文の断ち切り仕上げ:希望しない
断ち切りとはページの端まで印刷する方法です。断ち切りしないと印刷が若干ずれることで空白が極めて薄い筋状に生じてしまうそうです。しかし小説作品しか載せていない『Ducks sing~~』は、元から端が空白なので断ち切り仕上げしなくても筋が見えることはないので希望しませんでした。
断ち切り仕上げに関する所感
端まで塗りつぶしてあるような誌面の場合はスジが気になることがあるかもしれません。もし断ち切り仕上げをする場合は実際の印刷サイズより各辺数mmずつ追加した誌面を用意する必要があるみたいです。やったことないのでわかりません。
印刷部数:20部
ページ数:120ページ
納期まで変更することが可能です。当然のことながら冊子状なのでページ数は偶数にしかできません。
製本方法:くるみ製本
26ページ以上ではくるみ製本しか選択できません。詳しくはわかりませんが、綴じてある部分を見た限り商業の文庫本みたいな仕上がりでした。
とじ方:右とじ
縦書きの作品しか載せていないので右とじにしました。横書きの場合は左とじになります。
表紙の印刷方法:モノクロ印刷
表紙の種類:色上質最厚口
いろいろありますが何が違うのかはよくわかっていません。本文より厚くて、なんかほんのりとツルツルとした手触りの紙になりました。
表紙の色:白
モノクロで表紙の色をほかの色にすると、表紙データで何も塗っていない箇所が紙本来の色になります。詳しくはプラネッツの部誌をご覧ください。
表紙の断ち切り仕上げ:希望しない
表紙の端までイラストが広がっている絵でしたが、断ち切り用のデータを用意するのが面倒なので断ち切りは希望しませんでした。
断ち切り仕上げをしない場合に懸念される端の白い筋は、私としては全く気になりませんでした。『Ducks sing~~』を実際に見ていただくとどれくらい気になるのかわかるかもしれません。
オプション加工:なし
見てくれを豪華にするためにオプション加工をつけることもできますが、なくても粗末な仕上がりになるわけではありませんでした。
原稿入稿の方法:入稿用アップローダーを利用する
入稿用アップローダーはちょ古っ都製本工房のマイページからアクセスすることができます。
企業名:(空白)
ご担当者名:(本名)
ご担当者様名フリガナ:(本名フリガナ)
住所:(自宅住所)
電話番号:(携帯電話番号)
メールアドレス:(厠谷のメールアドレス)
お届け希望日:2023年10月27日(金) 時間指定なし
希望日以前の受け取り:可能
受け取り希望日は納品日から5日後まで選択可能です。注文が少ないと希望日以前に届くこともあるみたいです。実際に、『Ducks sings~~』は希望日の2日前10月25日に届きました。ただ別の機会でちょ古っ都製本工房を使ったときは、希望日の希望時間通りに来たので、早く来ることに期待しない方がいいと思います。逆にいままで遅く来たことはなかったので、到着が遅れてイベントに間に合わないということは怖がりすぎなくてもいいと思います。
納品場所:(未入力)
入力した住所と違う場所に届けてもらいたい場合についての項目なのでここでは未入力としました。
金額:5810円
別に振込手数料もかかりましたが、製本代金としてはこの金額です。
以上が注文の際に選択した内容だったと思います。
入稿
入稿は入稿用アップローダーを使いました。アップローダーはちょ古っ都製本工房HPのマイページからアクセスできます。締め切りは注文のコースによって違います。注文確定ページに乗っているので確認してください。
アップロードするのは、本文のデータと表紙のデータで、両方とも形式はPDFです。データの作成についての詳細はこのシリーズの別のページに乗せようと思います。
アップロードの際に原稿サイズが一致せずアップロードできない場合があります。その場合はPDFのページサイズを確認してみてください。WordからPDF化するとき、Wordのページ設定と完成したPDFのページサイズが異なる場合があります。
PDF化トラブルの所感
私も何度かこの問題に直面していますが、ページ数が200ページくらいを越えるとこのような現象が発生する場合があるそうです。なぜそのようなことになってしまうのかはわかりません。私は現時点で対処法を確立できていません。もしこれを読んでいる方が同じような問題に巻き込まれたら、頑張ってページサイズが一致するPDFを作ってください。
入金
振込先と振込金額はちょ古っ都製本工房からの注文確定メールに明記されています。
入金に関する所感
製本代金の振込にはゆうちょ銀行のATMを使いました。ゆうちょ銀行の通帳かカードがあればできます。ATMは川内キャンパスの向かいの郵便局にあって、大学に行くついでとかにも入金できるので便利です。
手続きを終えてから届くまで
入稿後、入稿データに問題があった場合などにはちょ古っ都製本工房からメールが送られてきます。
『Ducks sing ~~』の際には何もありませんでした。過去に『氷礫 vol.02』の製本を依頼したときは、ノンブル(ページ数)が紙面の端ギリギリに配置してあったため、印刷時に欠ける可能性があるが、そのまま印刷するか原稿を直すか問い合わせのメールが来たことがあります。そのときは、そのまま印刷するように頼みましたが、ノンブルは目立った欠落もなく印刷されていました。
ノンブルの位置に関する所感
ページ数を削減するために本文のスペースを大きくしようとするとどうしてもノンブルは端の方に寄ってしまいますし、ノンブルが欠けても読むのに大きな支障はないので、この場合は気にしなくてもいいと思います。ただ、内容に大きく関わりのあるものはできるだけ端に寄せすぎないほうがいいとは思われます。
商品の到着
前述のとおり商品が遅れて到着したことは経験上ありません。注文時に希望日以前の受け取りを可能とした場合は希望日より前に届くことがありますが、あてにしない方がいいと思います。 また注文冊数よりも数冊多く届くことがあります。製作時に生じた余剰分を同梱しているみたいです。気にする必要はないと思いますが、あてにせず必要な冊数分をきちんと注文した方がいいと思います。
以上が製本の注文の際に行った作業だったと思います。注文時のメールなどを確認して書いたつもりですが、誤記や記憶違いがあったら申し訳ありません。
いつも製本を注文してから本が届くまで、致命的な注文ミスをしていないかと不安になって胃がキリキリしています。今回『Ducks sing ~~』のときも、注文ミスがないか心配で仕方がありませんでしたが、幸い届いた本に可読性を著しく損なうようなミスは見受けられなくてよかったです。なので大学祭で別の団体のコピー本に綴じ方のミスがあったと聞いた時には、忘れかけていた不安が蘇ってしまいそうでした。
原稿と表紙のデータを作るのもなんだかんだ面倒なので、これはまた別のページで説明できたらと思います。現在制作中ですのでできるまでお待ちください。